2020年3月25日 東京都庁インタビュー

コロナウイルス感染拡大の影響を受け、東京オリンピック、パラリンピックの一年の延期が決定した。


翌日26日、東京都庁のオリンピック、パラリンピックについての取り組みを行っている部署への取材を行いました。

東京での大会の開催が決定してから、取り組んできたこと、その中のから生まれたり課題について、また、大会の延期により生まれたもう一年の準備期間の予定等について貴重なお話をお伺いすることができました。



「パラリンピックに向けての準備を進めてこられて、この中でも力を入れて取り組まれたことは何ですか?」



オリンピックとパラリンピックは、ほぼ同時に開催されます。


だから、オリンピックが終わってからスロープを付けたり等のバリアフリーを充実させる時間はないので、パラリンピックを見据えて大会の準備を始めています。

例えば、日本はなかなかホテル等でもバリアフリー化が進んでいないんです。

車いすで宿泊しようと思ってもなかなか不便なことが多いんです。

通路の幅であったり、シャワールーム に段差があたり、シャワーとトイレが別の場所にある浴槽へ移動がしづらいなどの問題があります。

準備としては、基本的には会場建設、バリアフリーの促進、あとはパラリンピックを盛り上げるイベントの開催等を行っております。


パラリンピック自体もですが、その競技も認知度が低いものも多いので、特にパラ特有のボッチャやゴールボール等の競技を知ってもらう為の取り組みを行っています。


障がい者だけでなく健常者でもプレーすることが出来き楽しめることを知ってもらう取り組みは特に力を入れて行っています。実際に認知度は上がっていると感じています。

IPC がガイドラインを作っていているのですが、各開催都市によってそれは違ってくるんです。だから招致が決まってから東京でも 2年程かけて新しくガイドラインを設定しました。



新しく作る施設は高い基準を目指し、既存の施設などは構造上どうしても変えられない部分があるので、人のサポートを充実しましょうと呼び掛けを行ったりしています。


会場に来られる方が観戦を楽しんでもらえる様に、車いすが通れる幅の通路を設定したりしてます。


あとは実際に障がいに関しての学術のある方や当事者の方の意見も取り入れたりもしています。

例えばお手洗いのエマージェンシーコールの位置はトイレットペーパーと同じ高さではなくて、具合が悪くなって倒れてしまった場合を想定して、もっと低い位置に設定した方がいいなど当事者でないとわからないことを聞いて取り入れたりしています。


また、道路も段差があったりはしますが、会場から最寄り駅の間を中心に整備を行っています。


「認知度が低い競技のアピールに関して具体的に取り組まれてきたことは何ですか?」

東京だけで行うだけではなくなかなか効果が無いので、区市町村が開催しているイベントでスポーツに関わらず食等の食べ物市等で競技で使う用具の展示をして、まずは知っても らうことにアプローチした場所を設定したりしています。


上野公園や銀座や東京駅等の人が集まるところに簡易体験が出来る場所を設置したりしています。

あとは「パラパスポート」というものを作っています。 22 競技ごとに体験するとスタンプが貰えるスタンプラリーの様な物もあります。


スポーツに興味がある人にアプローチするのではなくスポーツに興味がない人に興味関心を持ってもらう為の取り組みは行っています。


例えば、音楽のイベント等にパラアスリートの方に来ていただいて競技体験を行ったりしています。

最近だと大きな企業さんがスポンサーになっているので企業や経団連が体験会や運動会の開催等を行ったりもしています。


「今まで取り組みを続けてきた中で苦労した点はございますか?」

やはり、打った施策がすぐに返ってこないことがあるので、もどかしい思いをしたことはあります。

ただ東京2020を盛り上げることが一つのゴールではあるのですが、それだけではなくそれを越えて障がいの有無に関わらずスポーツを楽しんでもらう意味では、会場だけではなく公共施設のバリアフリー化を進めスポーツが出来る場所やスポーツが出来る人を増やすことが重要だと考えています。


パラリンピックは一つのキッカケとしています。

体育館で車いす競技をするとタイヤの跡が付いてしまったりするので、車いす競技が出来ない場所がまだ多く存在するんです。

だから、環境整備は今後の課題だと考えています。


「競技者以外の認知や理解も必要になってきますね」

そうですね。

例えば、視覚障がい者の競技であるゴールボールはゴールの設置やライン引き

が必要なんです。いろんな人の手がないと出来ないことなので、関わる人を増やしたいなと思っています。

1964年の大会では、海外の選手は仕事を持っていてスポーツをしているんです。

ただ、日本人選手はリハビリ病院から直接、会場に来た方が多いんです。


それから初めて全国の身体障がい者のスポーツ大会ができたり、日本障がい者スポーツ協会ができたりして初めて障がい者スポーツがスタートできました。


長野パラリンピックの時にメダルを多く獲得し競技性ができ、東京大会が決まってからは関心が高まったと感じています。

これをいい機会に障がい者スポーツの普及に力を入れていれています。


関心を持ってもらい知ってもらう、また既に関心のある方にはこれを機に始めてもらいたいと思っています。


スポーツと言うとハードルが高いですが、体を動かす等の簡単なことがら障がいの程度に合わせて始めてもらえればなと思います。

それを支える人や企業が増えていけばとも考えており環境整備が必要だと感じています。


「そういった取り組みを実施されている中で選手や関係者とこれまで交流されてきたかと思うのですが、そういった方々が共通して感じていることなどはありますか?」


一つは大会が決まって盛り上がってきているので、パラバブルだと言っている方が多いです。

今は行政から予算が出たり色んなイベントを主催しやすいのですが、東京大会が終ってから高まった関心を維持し、引き続き高めていくのかを不安がっている方はよくいらっしゃいます。


あとは時々耳にするのが、パラリンピックはエリートのスポーツだから自分には関係ないと感じている当事者の方もいるそうです。


確かに障がいの程度が重かったりする方には、自分とは無縁の世界と感じるかもしれませんが、運動や散歩等の体を動かすことは可能だと思うので、それによって障がいを持っている方が外へ出るキッカケになったり人と人が繋がる媒介になることはあると思うんです。

だから社会に関わるキッカケになればいいなと感じています。



「コロナの影響で延期になり、ある意味準備期間が伸びたとも言えますが、より良い大会に するためにその期間に出来ることは何だと思いますか?」


正直、決まったばかりなので何とも言えないんです。


ただ、この期間をポジティブに捉えこれまで準備状況に関するレビューを受けているのですが、東京ばなこれまで非常にいい準備をしていると言われています。

引き続きそれらの準備を続けていければと感じています。


何かしら物を作るなどではなく、障がいのある方への接し方などのマインドチェンジを呼び掛けていければと思っています。

例えば、目が見えない方に何と声を掛ければいいか?

車いすの方とお話しするには目線を会わせましょう等を自然に出来るようになるといいなとは思います。


それが出来るようになれば、大会を終えた後、大きな財産になると感じています。


「健常者が障がいを持っている方にどう接するのかは、この一年間でもっと伸ばせるということですか?」


そうですね。

建物の場合だともっとバリアフリーを充実させようと思っても工事に時間やお金がかかります。


ただ、そこに人が立つことで 5cm の段差を越えるのに

「手伝いましょうか」の一声によって心のバリアフリーが生まれたりします。


それが感じられる様になればと思います。


「パラリンピックを通して広がる社会にはどういった可能性があるとお考えですか?」

大会の招致が決まった後に、この大会のレガシーは何だろうと考えたときに、64年大会は高速道路ができたり新幹線が通ったりハード系な話が語られることが多かったんです。


それから50年が経ってハードの部分では進歩は限りがあると思います。

ただ、知事もよく言っているようにダイバーシティ化させるにはいい機会だと感じています。


障がい者と接する場面は日常であまり無いと思うんです。


このパラリンピックをキッカケ に車いすの方や目が見えない方の存在を知り、その方々を意識しながら生活や行動することによって心のバリアフリーが進んでいくと思います。


ただ、それを大人にやりましょうと言っともなかなか進まないと思うんです。


子どもは素直に受け入れて、最近よくパラアスリートの方が学校訪問をして一緒に給食を食べたりした 際に「何で、足無いの?」と聞かれたりするそうなんです。

障がいとは社会が作っているもので、それを取り除くことがバリアフリーだと思います。

子どもは純粋に受け止めやすく、面白いとかの気持ちになったりするみたいなんです。

だから、子どもが親をパラスポーツの観戦に連れて行ったりも多いみたいです。


子どもに教育することが親に電波してい効果を生むこともあります。


オリパラ教育も学校で取り組んだりもしていますし、パラスポーツへの取り組みも進んでいます。


「子どもの教育に関してはどこがメインで働きかけを行っているんですか?」

子どもの教育に関しては教育庁です。

カリキュラムの中に取り入れて体育や道徳の授業の一環で行っています。

最近は教員研修で取り入れている所も多いです。

特に東京都は多いです。


「オリンピックとパラリンピックを別けなくていいのでは?というのは意見もありますが、それについてはどう思われますか? また、都庁考える真の多様性とは何だと思いますか?」


他人を理解するという意味で、みんな違って、みんな同じという考えがどれだけ浸透していくのかなだと思います。


決して障がいは特別なものではなく、ちょっと手が不自由なだけ、目が見えにくいだけで特性や特徴だと思います。


オリンピックとパラリンピックも昔と比べると同化してきています。


時期はずれていますが同じ会場でやってますし、実際にパラの選手がオリンピックに出場してメダルを獲得したりしています。


ただ、公平性の問題でなかなか一緒には出来ないのが現状です。

どうしても大人の場合は障がい者の方と接する際にいいことをしていると考えがちですが、子どもは純粋なので、それが無く接することが出来るので、子どもからの教育はとても大事なポイントだと思います。

その辺りが自然になっていくと競技の一体化が進んでいくと思います。


「耳の聞こえない方のデフリンピックや知的障がいの方のスペシャルオリンピックスが同時開催されないのは何故ですか?」


団体が違うんです。

元々はデフリンピックの団体があり、パラリンピックの団体が後からできたんです。


一時期は 2つは合流してたんですが、デフリンピックの団体が競技性を高めたいという理由で抜けたんです。


例えば、デフリンピックを開催する際にサポートするのは日本だと日本オリンピック団体なんです。

そういった団体間の問題があるのかもしれません。


スペシャルオリンピックスは、そもそもは競技として競うのではなく、みんなの普段の日常活動のゴールとしているんです。


例えば、みんな一斉にヨーイドンでスタートするのですが一等、二等、三等と競うのではなくみんなでメダルを貰うんです。

パラリンピック、オリンピック、デフリンピックは競技性があるのですが、スペシャルオリンピックスは普段の活動の発表会になっているんのでそこの違いが大きいと思います。

ただ、障がい者スポーツを知ってもらう一つの工夫として一緒に開催することはありだとは思います。


正直パラスポーツの大会は人が入らないです。

だから我々は日々パラリンピックが満員に なるのか不安です。


「パラリンピックのチケットの売れ行きは好調だと聞いていますが?」

それは正直パラリンピックだけです。


その前の代表選考会等の大会は無料でやってもお客さんはなかなか集まらないです。


パラリンピックという一つのお祭りイベントを見たいと思う方は大勢いますが、そこで繰り広げられている障がい者スポーツそのものに関心がある方はまだまだ少ないです。


国際大会なども東京都がお金を出して開催してかなり競技としてはレベルの高いものが見れるのですが、なかなか人が集まらないのが現状ではあります。

バスケ、ラグビー、ブラインドサッカー等のメジャー競技に関しては、500円〜2,000円程の有料席を一部設けていますが、他は殆ど無料でやっています。


それこそ本当にメジャーなものになって、一般化していきプロのリーグになったり企業スポーツになって有料の大会でも人が集まる様になると、また違ったステージになるとは思います。

パラリンピックは客席がいっぱいになるとは思います。

ただ、大事なのは大会が終った後も 競技を見に来てもらうことで、そこに関しては危機感を感じています。


パラリンピックを盛り上げるのは、そこまで難しいことではないと考えています。


ただ、次に友達を誘って見に来てくれるかとなると別問題なのかなと。


今、企業さんも社会貢献や CSR活動としてやっていますが、引き続きサポートしてもらうにはどうしたらいいかが課題だと思います。


結局、行政がお金を注ぎ込んでも福祉からは抜け出せてないことになるんです。


企業など社会がそこに投資して社会の一員として認められないと共生に繋がってはいかないんです。

だから社会を巻き込んでやっていく必要があるんです。


「これからの取り組みの中で、もっと変化していかないといけない点は何かございますか?」


" パラスポーツを見てみたいですか? "

というアンケートで、見たいと答える方は多いのです。


ただ、殆どがテレビやラジオで見たいと答える方が多いんです。


普通のスポーツでも会場で 見ると臨場感など全然違うと思うんです。

どうやったら現地に引き出せるのかながやはり課題かなと思います。

テレビの中継に関しても増えてはきましたが、なかなか地上波では無いんです。

だからスポ ーツとして中継されるといいなとは思います。


「そこはやはり、我々メディアの義務と感じています。」


そこは自分達にはどうしょうもないことなので、野球やサッカーのようになればいいなとは思います。


人気俳優がドラマで題材として取り上げた時だけではなく常に観れるようになってもらいたいです。

昔は試合結果も社会面だったのですが、最近はスポーツ面で取り上げられるようになりました。

そういった目に見える所にも変化があれば変わっていくのかなとは思います。



東京都庁

https://www.metro.tokyo.lg.jp/