食べることを通してお店も地球も人も幸せに。株式会社tabekifu 坂入 千佳

飽食の時代。


日本で「まだ食べられるのに廃棄されてしまう」いわゆる食品ロスは、年間 600 万トンにものぼると言われています。

そんな食品ロスを「寄付」で支えながら、一人一人の意識を変えていこうと考えているのは、株式会社タベキフです。


今回は代表の坂入さんに、タベキフスタートの経緯から、食品ロスを減らすための未来の考え方などについて、お話を伺いました。




まず、タベキフはどのような企業でしょうか。


食の課題を解決していく事業です。

フードロスであったり、第一次産業の農業のサポートであったり、飢餓・貧困であったり、食の課題といっても、いく つかのプロジェクトがあります。


もともとは、スマートフォンのアプリで、「飲食店さんの商品を購入すると、同時に社会貢献団体への寄付ができる」 というものです。

メンバーとしては、システムを担当している人間、社会貢献に興味がある人間、コンサルを担当する人間など、色々な タイプのスタッフがいます。


タベキフは、どういう経緯でうまれたのでしょうか


もともと私は、別の事業をやっていました。雑貨の会社をやっておりまして、駅ビルなどでテナントとして出店していました。ある時に、駅ビルの都合で、こちらからお金をかけてリニューアルをせざるを得ない、という状況になりました。

また、そんなときに最愛の夫が亡くなってしまったんです。突然の他界でした。

そういったことが重なり「自分の生き方をもう一度見直し、新しいフェーズで仕事ができたらいいなという思い」が強くなりました。そこで、会社を売却して、自分の見直しも含めてカウンセリングを勉強し、自分の強みや特徴を生か して生きていけるようなカウンセラーの仕事をするようになりました。そして、そのカウンセラーとして話を聞いてい く中で、もっとひとりひとりが自信を持って助け合えるような社会を作りたいと考えていたところ、今の創業メンバーたちに声をかけてもらい、タベキフを創業するに至りました。



事業がスタートするまでの期間はどれぐらいかかりましたか?


メイン事業はアプリになるんですが、だいたい半年ぐらいの準備期間を経て、アプリをリリースしています。


実際ユーザーからは、どんな声をいただきますか?

寄付をするサービス等でよくあるのは、企業もう寄付先を1箇所決めていて何か買ったお金から企業が寄付をするという形です。


でも、タベキフの場合は食べるということを通して、自分で寄付先を選び贈ることができるんです。そうやって自発的に選んで寄付をすることで「自分の社会貢献の意識につながる」というようなフィードバックをいただくことはあ ります。

坂入さんはもともと食についての興味があったのですか? 


食というのは当たり前に存在していると思っていたので、実ははじめは特別興味を持っているわけではありませんでした。食べ物に興味を持ったのも、先述した夫の死がきっかけです。

夫は、食を通して人を幸せにする飲食の事業をやったにもかかわらず、自分自身は忙しさから食べ物や生活を疎かにしていたこともあったんです。それもあって自分自身、食というものそのものを見直すきっかけにもなりました。


食べることは自分の周りには当たり前に存在しています。

でも、ふと立ち止まったら、食べた作物の育つ工程や、農薬 の問題、環境問題、健康のことに始まり、大量生産大量廃棄、貧困層、若い労働力の搾取といった問題など、そこにはSDGsのいろんな課題が絡んでいるんですね。


この気づきは、亡き夫のやってきた飲食事業も一緒に見直していけるいいきっかけにもなっているのかもしれないと思い、今実施をしています。


プロセスの中で食の大切さであったり、まわりへの感謝に気付いてこられたということですよね。


まさにその通りです。


事業に関して、食に関して幅広く実施をされているとのことですが、坂入さんは一番どの分野に興味がありますか?


自然栽培農業ですね。私はどんな人でも、強く生きていって欲しいという願いがあります。そのためには、普段の生活から、いろんな要素が必要だと考えていて、食もその一つだと考えています。


特に自然栽培は、農薬や肥料、除草剤を使わず、雑草さえ味方にして栽培していきます。 現在、農薬が土壌や人体に与える影響が研究を通して分かってきています。


もちろん、作物を守るという点に関しては多少は必要なこともあるでしょう。ですが、自然栽培という手法を通して、農薬を使わず、私たちの住む地球の環境、 土壌を健康に、豊かにしていくことも大切だとも考えています。


実際、自閉症や精神疾患を持つ方々が自然栽培に関わったり、その野菜を食べることで心身の健康や幸福度もアップすることもわかってきています。この栽培方法はなおさら、私たちがこの地球という場所で生きていくためにはこれから必要なことであるとも思いますね。


ただ、自然栽培はまだまだ普及が進んでいないため、全作物の 0.05%以下しかないんです。今は、今後この数字を上げていけるような取り組みをいくつかしています。 それから、自然栽培の野菜をどんどん世の中で使ってもらう。いいものを手に取ってもらって、食べてもらう。そういう食や健康、幸福度の教育もしていく必要もあるのかなと思います。


自分の身体は、食べたものでできているという認識をもって、選択をしていただきたいと感じています。

日本での食の現状を知った上で、企業として今後どのように社会に働きかけたら、より個人が社会課題の解決に興味を持つようになると考えていますか。


コロナが始まる前は社会貢献団体さんとイベントをやらせてもらっていて、そこから啓蒙活動などができていました。 ですが、今はコロナの影響などもあり、そういうリアルな繋がりはできなくなってきています。


ただ、そういう「リアルに知る」というのはとても大切だと思っています。そこで今後考えているのは、「実際に畑に触れてみる」ことです。


自然、つまり土を触ることが、より食の全ての問題ということの意識に繋がってくると感じています。ただ考える頭か らではなくて、指先や現場の感覚から受け取ってもらったほうが、特に東京など、都会の人間にとっては食や本来の健 康的な生き方について考えてもらうには効果的なのではないかと考えています。



今後のビジョンを教えてください。


私たちが食べられることにちゃんと感謝して、どこかに寄付や支援をしていくような、そういう経済循環が日本の特徴みたいなものになって、世界にもその強みを発揮していけるようになればいいなと思っています。


会社のビジョンというよりも日本人全体のビジョンとしてですね。


食べながらどこかを助ける、支援するような仕組みは、今でこそまだ組織レベルでしか難しいことなのかもしれませんが、いつかは一人一人の意識がそうなって、世界に日本人の強みとして打ち出していけるような社会になって、そこに私たちタベキフがいれたらいいのかなと思いますね。


では、最後に新しいことにチャレンジしたいと考えている若者たちへ向けてメッセージをお願いします。


自分の直感を信じて、どんどん行動してほしいなと思います。

私たちは、身体と言葉をもたされています。 一人一人役割も使命も違うからこそ、他者の言葉に惑わされることなく、自分が感じたもの・興味があるものを軸として、自分を信じて体を使い、行動していく。


調べる、動く、人に会いにいく、勉強する、発信する......完璧は求めなくていいので、自分が得意なものをチームで提供しあえる、与え合えることをしていってほしいなと思います。


【スピーカープロフィール】

坂入 千佳(さかいり ちか)

株式会社 tabekifu(タベキフ) 代表取締役社⻑ CEO グロウス・カンパニー+SDGs 基礎講座修了/資質学講師/資質学カウンセラー。 これらのスキルを基に SDGs 普及活動と併せて、会員登録して注文するだけで食品ロスの解消と共に寄付につなげる新たな貢献のかたち「tabekifu」というフードロス解決アプリを開発・創業。

40歳の時、夫の突然の他界をきっかけに自分の生き方を見直す。そこから「資質学」を通して「自分たちはいかに恵まれ、それらをどれだけ当たり前に享受できていたのか」ということに気づき、資質学カウンセリングや講師としての仕事をスタート。 その活動のなかで、日本人のある傾向に気づき、課題を感じるようになる。

当たり前にできていることに感謝すること、当たり前に食べることのできる私たちが、食べることのできない子供たちや国へ寄付を生み出すしくみを作り「tabekifu」をはじめとして、食を通して寄付を生み出すプロジェクトを複数準備、運営している。