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パラスポーツチーム紹介 乃木坂ナイツ(ブラインドサッカー)

今回紹介するのは、都立青山公園を拠点に活動しているブラインドサッカチーム乃木坂ナイツです。

代表の葭原滋男さん、監督の牛越信雄さん、選手の髙野大輝さん、ガイド(選手への指

示を出す役)の仲伏真与さんにお話を伺いました。

写真:2020カップ終了後のチームの集合写真


チームの特徴や設立経緯を教えて下さい。


葭原「2005年から乃木坂にある都立青山公園で毎週水曜日の夜に練習を始めました。はじめは、都心のど真ん中で仕事帰りに練習しようと所属チームに関係なく集まって練習していましたが、徐々にチームとしての団結心が強まってきて2011年に結成することとなりました。」


乃木坂ナイツの特徴は何ですか?


牛越「やって楽しい、見て楽しいをモットーに、みんなで考え工夫しながら、勝負にはこだわりつつも、他のチームにはできないような作戦やプレーなど新しいことにチャレンジしようとしています。 また多種多様なメンバーが居て、年齢や性別も関係なくいつでも誰でもチームに関わることができます。 現在は日本代表に入るような選手もいないので、誰でも試合に出場するチャンスがあります。」


視覚を使わないスポーツということで初心者ではなかなか参加しにくいとも感じられますが、実際に参加する場合は最初はどれくらいの恐怖心があるものですか?


葭原「情報の8割と言われる視覚を遮るわけですから、最初は恐怖心があって当たり前だと思います。ただ、そこは練習を通して感覚をつかんでいくことや仲間同士コミュニケーションを取り、協力し合うことで段々と無くなっていくようです。」


ブラインドサッカーならではの練習があれば教えて下さい。


牛越「基本的には、サッカーのトレーニングと同じではないかと思います。ただ、それを見ないで行うため、より精度を高める必要があります。ボールを運ぶ、止める、 蹴る、どれを取っても音や周囲の声に集中し正確にできないと上手にはできません。また、ボールを取り合ったりした後は、選手自信がピッチのどこにいて、どこを向い ているのかわからなくなったりしますので、周囲の音を聞いて瞬時に判断する空間認 知能力を培います。それに対してガイドやゴールキーパー等見えるスタッフは、選手の状況を把握し、どの方向にどのくらい何をするのかを的確に声のアドバイスをする。その連携はブラインドサッカーならではないかと思います。また、選手にわかりやすく情報を伝える必要があるので、常に考えながら声を出す必要があリます。 そのためか、練習が終わった時には身体よりも頭が疲れていることが多いです。」

写真:デモンストレーションマッチでの葭原

写真:デモンストレーションマッチでの葭原、高野、牛越



高野選手への質問

ポジションを教えて下さい。


高野 「ポジションはディフェンダー(守備)です。ただ、将来的には、トップ(相手ゴールに1番近いポジション)をやりたい考えています。フォワード(攻手)として沢山ゴールを決めたいですね。

今は大学生なので、勉強などの合間で練習したり、試合に出たりしています。だから フィールドを駆け回る必要のないディフェンスから始めた、というのはあります。」


視界を遮った状態で全力疾走で走れるようになるには、どれくらいの練習量が必要ですか?


高野 「全速力はまだできないです。やはり見えない中で走るのはまだ怖いです。だからフィールドを駆け回る必要のないディフェンスから始めた、というのはあります。

今は慣れて来てだいぶ走れるようになって来ました。ボールを扱うことであれば、半 年過ぎた位から自分の上達を少し感じるようになりましたね。」


葭原「全力で走るためには、先ほど監督が話してくれた空間認知能力が必要です。周りがどうなっているのかを見ないでも把握することができると、全力で走れるようになっていく。高野選手はそこの途中段階なのかと思います。」


得意なプレーはありますか?


高野 「高校時代はラグビーをやっていたので、フィジカルコンタクト(体と体のぶつかり合い)を活かしたプレーが自分の武器だと思っています。」


競技以外では普段どんなことをしていますか?

高野 「元々体を動かすことが好きなので近所でランニングをしています。たまに麻雀もします(笑)」


目指す選手像や目標などはありますか?


高野 「目標としている選手はいますが秘密です(笑)しっかりと活躍してチームの要になる選手になりたいです。」


ガイドの仲伏さんへの質問

ブラインドサッカーにおけるガイドとはどういったポジションですか?


仲伏 「私の場合は、そもそもサッカーのルール自体を知らずにブラサカ面白いな、乃木坂近いから行ってみようという興味本位で始めたんです。とにかく周りの人に教えてもらいながらコールの使い方を覚えて、アイマスクの前にまずボールに慣れるいうことからはじめました。だから、選手に伝えるというよりも選手と同じ気持ちに なるというところからスタートしたような感じです。」


葭原「ガイドの重要なことはゴールに仲間のシュートを呼び込むこと。選手の気持ちを考えながら声をかけることが大切。勿論、ブラサカをより知っていた方がいいのですが、ピッチ内に響き渡る選手たちの「ヴォイ」というあの掛け声※1 も女性の声は 男性の声にかき消されることなく、目立ちやすいので、何よりも大切なのは私のとこ ろにシュートを決めなさい!というような「元気」がポイントですね。

※1「ヴォイ(Voy)」というあの掛け声...ブラインドサッカーのルールで、ボールを持った相手に向かう時には、この「ヴォイ」という掛け声を出さなくてはいけない。そうすることで相手との危険な衝突を防ぐ。スペイン語で「行く」という意味。



選手に指示を出す際に気を付けている点はありますか?


仲伏 「選手によって距離の感覚、声の掛け方を変えています。この選手は、強く言ったほうが聞き取りやすいから声を強めに、もともと動きなどが自分でイメージできている選手には必要最低限な情報を端的に話す、といったような感じです。選手のことを理解しておけるように練習の時でも一人一人コミュニケーションをとるようにもしてます。」


プライベートでも選手間で交流はありますか?


仲伏 「練習の前後でもコミュニケーションをとったりしています。練習や大会の後にはご飯に行くとが多いです。チーム練習だけでなく個人で練習をすることもあります。他にも買い物をしたりイベントに行ったりなどブラサカ以外での時間も一緒に楽しんでいます。」


チームの今後について取り組みとして予定していることはありますか?


葭原「港区を拠点としているので、地域に密着したチーム作りをしたいと考えています。

パラスポーツの枠を超えて、サッカーのひとつとして、少年サッカーやフットサルなど、様々なチームとも交流していきたいです。

また、ブラインドサッカーは一般社会の中に不足しているコミュニケーションやチームワークなどがとても重要です。それをシンプルに感じることができる。だからこそ、体験会や講演会などブラインドサッカーを通して社会を変えていけるような取り組みもできればとも考えています。

視覚障がいがある人は、気軽にスポーツをするという環境が得にくくもあります。

乃木坂ナイツで一緒に活動することで、気軽にスポーツに触れ、楽しみ、一緒にチャレ ンジする、そういう環境を作っていきたいと思っています。 他にも、経済的なサポートが出来る環境作りにも挑戦していきたいと思っています。

どうしても、障がいなどのサポートというのは「ボランティア」というイメージがありますが、ブラサカを通して視覚障がい者やそれらをサポートする人達も収入を得ることが出来る、そういった仕組み作りをしていくことで、経済的にも裕福になっていく... そんなチーム作りに貢献したいです。そうすることで色んな可能性が広まるとも思います。」


今チームが抱えている問題はありますか?


牛越「もう少しチームに関わるメンバーが増えて欲しいと思っています。選手だけ、ガイドだけではブラサカはできません。選手が増えれば競争力が上がりますし、ガイドが増えれば、安全に充実した練習を行うことができます。 また、チーム練習の数が少ないと感じています。水曜日の夜を練習日としてますが、仕事の関係で参加できないメンバーもいます。

人工芝のグラウンドで練習出来ていないという問題もあります。 問題は山積みですが、みんなで考え工夫しながら、少しずつ乗り越えて行きたいと思います。」


メディアのパラスポーツの扱いに関してはどう感じていますか?


葭原「東京2020パラリンピックのおかげで、取り上げていただく機会は非常に多くなりましたが、まだその魅力を伝えきれていないようにも思います。

どうしても障がい者が頑張っていますという表現が多いのが気になります。

ひとつのスポーツ、ひとりのアスリートとして取り上げてほしいです。またそれを支えるスタッフとの関係ももっともっと掘り下げていくと面白いんじゃないかと思っています。」


最後にお一人づつ今後の目標をお願いします。


仲伏 「もっと若い世代の人たちが加わってれるといいなぁと思っています。もっとチームを知ってもらい、参加してもらいたい。今年で大学卒業となりますが、社会人 になっても参加していきたい。また、コーラーとしてはチームに安心してもらえる コーラーになれればと思っています。」

高野 「目標選手を上回れるようなプレーヤーになることです。その為にはその人以上の努力をしなくてはいけない。それに向けて学校での勉強はもちろん、ブラインド サッカーの時間も捻出して、その選手をゆくゆくは越えていきたいです。」


牛越「ブラインドサッカーを知らない人でも、乃木坂ナイツは面白そうだなと思ってもらえるようなチームにしていきたいと思います。強いチームを目指して日々練習を積み上げていって強いながらも常に笑いが絶えない。そんなチーム作りをしていきたいと思っています。」


葭原「乃木坂ナイツいいじゃん!最高!と言えるチームにしていきたいです。みんなで協力し合って、スポーツをきっかけに楽しむ。仕事終わりや学校終わりに、乃木坂 にくるとすべてを忘れてホッとする場を作っていきたいと思っています。また、乃木坂ナイツではいつでも選手、サポーターを募集しています。ちょっと興味ある、見学したいなどお気軽にご連絡いただければと思います。」


「笑顔の輪を繋げる」という言葉通り緊張しながらも時折、笑顔で答えてくれました。乃木坂ナイツの皆さん、ありがとうございました。 IKIRU PROJECT ではこれからもパラスポーツを応援し続けます。


乃木坂ナイツプロフィール 東京のブラインドサッカーチーム。

「乃木坂から笑顔の輪を繋げる」というビジョンを掲げ活動しており、今後は日本選手権ベスト8入りを目指している。 主に毎週水曜日に東京都立青山公園で活動中。


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インタビュアー 梅本隼悟 IKIRU PROJECT

吉田詩玲奈 学生スタッフ

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