2019年4月28日 都内児童養護施設イベント参加レポート

4/28、都内児童養護施設で、年に一度の子どもたちの健やかな成長を願うためのイベントが開催された。
参加者はこどもたち、施設の職員の皆さま、ボランティアの方々、ゲスト、近所の方などすべて含めると、総勢1000人以上にも上る、大規模なイベントである。
IKIRU PROJECTはボランティアスタッフとして参加した。
まず、児童養護施設とはどんなところか。
児童養護施設とは、さまざまな問題を抱え、自分の家族とは暮らすことのできない子どもを養護し、職員たちがその家族の代わりとなって、子どもたちの成長をサポートしていく場所である。
イベントの日は、太陽の光が降り注ぐ快晴。雲もほとんどない中、緑に囲まれた広々とした施設の庭で、子どもたちは元気いっぱいにイベントを楽しんでいた。
IKIRU PROJECTは、ペットボトルと風船を使った、空気砲の的当てゲームコーナーを担当。
子どもたちの一生懸命工夫して的の高得点を狙う姿、真剣に楽しそうに自分だけの空気砲を作る姿、そして高得点が取れた時の笑顔と、くるくると変わるその表情に、こちらも思わず笑顔になってしまう。
子どもたちのパワーは、人の心を動かす力があると感じた一瞬であった。
こうやって、子どもたちと一緒になって遊べたことももちろんだが、「児童養護施設」そのものに触れることができたのは、大変貴重な経験となった。
子どもたちによるダンスのパフォーマンス、ゲストによるパフォーマンス、おいしい食事、各体験&ゲームコーナーなどをみんなで楽しんだあとは、鯉のぼりを歌い、願いを込めた風船を全員で飛ばすことに。
現在、児童虐待の通告件数は15万件を突破している。その勢いは止まるところを知らず、毎年増えていくばかりだ。
今回参加させていただいた施設の施設長様、および関連省庁や(公社)日本社会福祉会への訪問の際、担当者の方から伺ったことであるが、児童虐待は、さまざまな問題が複雑に絡み合って生まれているという。だから、一概に「これを解決すれば良い」とは言いがたいのである。
貧困、子育ての孤立(コミュニティの希薄)、ストレスの行き場のなさ、家庭内暴力、親からの子どもへの理想化など……負の問題がまた別の負を呼び込み、連鎖し続けている。
実際、虐待を受けた子どもは、無条件に愛されることを知らない子どもが多い。だからこそ、自分に子どもが生まれても、母親と同じことをしてしまう、そして自分自身もそんな自分を責めてしまう上、助けもどこに求めれば良いのかわからない。そんな家族の負の連鎖も起きている。
それから、施設出身というだけで就職差別などの憂き目にも遭うことも多いという。
これらを一気に即座に片付けることは、難しいだろう。それぞれのケースに合わせてそれぞれ得意とする人々や団体が、サポートを行なっていくことがまず第一に虐待を減らしていくためのスタートなのではないかと考える。
しかし、その前に大事なこと。
それは、児童虐待や児童養護施設のリアルを広く伝え、それを知らなかった人たちが考えたり知ったりするきっかけを作ることである。
もし、児童虐待について何も知らなかったとしたら。
近所の子どもが泣き叫んでいてもただ泣いているだけと思うかも知れない。けれど、少しでも知識があったり考えたことがあれば、「もしかしたら……」と行動に移れるかも知れない。
きっかけは、知ることに繋がる。
知ることは、行動に繋がる。
IKIRU PROJECTでは現在、児童虐待をテーマとした映画『Contrast 影と光の物語』のプロジェクトを進めている。
私たちには私たちのできることを通して、この問題を「知る・考えるきっかけ」を作っていこうとしている。
今日のイベントを通して子どもたちの願いが空の向こう側まで届き、本当に叶ってほしいと願うばかりである。
そのためにも、映画『Contrast 影と光の物語』、この作品は、多くの子どもたちが勇気や未来の希望を持てるような作品にしようと、強く感じた1日となった。
◆厚生労働省:児童相談所全国ダイヤル「189(いちはやく)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/index.html